米国側資料に、米国が「もし日本がこのGHQが作成した憲法を受け入れなければ、天皇は戦犯として処刑され、おまえら政治家も権力の座に残れないぞ」と猛烈に脅しているシーンが書かれている。 

「戦後史の正体」 孫崎 享 

日本国憲法は、米国が作成した草案を日本語に訳し、少し修正を加えたものです。p68 

米国は自分達の作った憲法を受け入れるよう迫りました。ホイットニーは、当時日本側が作成中だった憲法法案を完全に否定し、自分達の草案を採用しなければ天皇が戦犯になるかもしれないと脅しました。その様子を、そのとき同席したラウエル陸軍中佐が手記に残しています。 
(中略)ホイットニー将軍は一語一語念を押すようにゆっくりと次のように発言した。『先日あなた方が提出された憲法改正案は、自由と民主主義の文書として最高司令官が受け入れることはまったく不可能なものです。最高司令官は、ここに持参した文書(GHQ作成の憲法法案)をあなた方に手渡すよう命じました」 
(中略)あなた方がご存ちかどうか分かりませんが、最高司令官は、天皇を戦犯として取り締まるべきだという他国からの圧力、この圧力はしだいに強くなりつつありますが、このような圧力から天皇を守ろうという決意を固く保持しています、(略) 
しかしみなさん。最高司令官といえども、万能ではありません。けれども最高司令官は、この新しい憲法が受け入れられるなら、実際問題としては天皇は安泰になると考えています。さらに最高司令官は、これを受け入れることによって日本が連合国の管理から自由になる日がずっと早くなるだろうと考え、また日本国民のために連合国が要求している基本的自由が、日本国民にあたえられることになると考えております。」「この憲法草案が受け入れられることが、あなた方が(権力の座に)生き残る期待をかけうるただひとつの道であるということは、いくら強調しても強調しすぎることはありません」(高柳・大友・田中編著『日本国憲法制定の過程1』) 
米国側の証言ですから、これが事実でしょう。ホイットニーは、もし日本政府がこのGHQが作成した憲法草案を受け入れなければ、天皇は戦犯として処刑されるかもしれないし、吉田外相をはじめとする現政府のメンバーも権力の座に残ることはできないと猛烈におどしているのです。 
結局、日本政府はこのGHQ草案を受け入れ、それを日本語に翻訳したあと再度GHQ側と協議し、日本国憲法草案を作成しました。それにより昭和天皇が戦犯として処罰・処刑される可能性はなくなったのです。 
「昭和天皇独白録」は、天皇、マッカーサー第三回会見における天皇陛下の発言として、「この憲法制定に際し、貴将軍においてひとかたならぬご指導をあたえられたことを感謝いたします」という言葉を書いています。 
それはそうでしょう。憲法の受け入れと天皇の「安泰」がリンクされていたのですから。 
ライシャワー元駐日大使は著書のなかで、「マッカーサーは自分で日本国憲法を書いてしまった」「マッカーサーは文書(米国の正式な占領政策を定めた「対日初期方針」になかった憲法起草もやってしまいました)とはっきりこのことを批判しています(『日本への自叙伝』日本放送出版協会) 
いくらおどされたとはいえ、国家を運営するうえでもっとも重要な憲法を、翻訳したあと、わずかな修正を加えた形で制定した日本政府にも大きな問題がありますが、このことから米国の占領政策=間接統治がどういうものだったか、だいたいおわかりいただけると思います。
 

ホイットニーが日本側を脅すシーンは、ベアテシロタゴードンの自伝「1945年のクリスマス」にもある。彼女は憲法作成に関わった人物。 

「あなた方は、ご存知かどうかわかりませんが、最高司令官は、天皇を戦犯として取り調べるべきだという、他国からの強まりつつ圧力から、天皇を守ろうという決意を堅く持っています。これまでも、最高司令官は、天皇を守って参りました。それは、彼が、そうすることが正義に合致すると考えていたからで、今後も力の及ぶ限りそうするでしょう。しかし皆さん、最高司令部といえども、万能ではありません。けれども最高司令官は、この新しい憲法の諸規定が受け入れられるならば、実際問題として、天皇は安泰になると考えています」 
ホイットニー准将の言葉は、日本側にとっては脅迫に近いものだった。P209
 

『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』 (P520 ~ P529)深田 匠 

「景気さえ回復すれば再び日本は繁栄する」という錯覚に多くの政治家・財界人・マスコミは陥っている。 
しかし日本を待ち受ける21世紀は、そんな甘いものではない。 
過去の日本の経済的繁栄は、米ソ冷戦の谷間で国家の安全保障をアメリカに任せきりにして、経済のみに専念できたからである。 
つまり地政学的な位置から米ソ間のパワーに巻き込まれなかっただけのことだ。 
しかし新しく始まった米中冷戦と世界秩序再編の嵐の中で、日本は中共に対する直接の盾となる当事国であり、強い軍事力と国際政治力を持つことを共和党から求められている。 
その役割を果たせずして日本の繁栄は絶対にありえない。 
もし日本が中共の勢力圏に入ってしまえば、日本はモンゴルやネパールのような位置づけの国となる。 
過去の繁栄が蘇ることは長きに渡って起こらない。 
日本が再び繁栄を続けるための唯一の道は、アジアを自らの勢力圏にして中共政権を瓦解させ、台湾、インド、ASEAN、南方の海洋島国と共に、EUのような緩やかなアジア連邦構築を目指す方向以外には絶対に有り得ないのだ。
 

しかしそのためには、まず国家観と歴史観の再構築が前提となる。 
小泉首相がいくら「構造改革なくして景気回復はなし」と叫んでも、構造改革は不可能であろう。 
それは、国家の基軸たるもの、即ち憲法及び教育・外交・安保の国家的大計が改革されていないからである。国家基軸を改革するには、国家として自虐史観の克服が必要となる。 
詰まるところ現在の日本の国家の基軸を左右しているものは、大東亜戦争に対する見方であり、それはGHQの創った戦後体制を今後も続けるのか否かということを意味するのだ。 
「歴史観改革なくして国家基軸改革なし、国家基軸改革なくして構造改革なし」ということである。
 

対テロ支援特措法に関する国会答弁で小泉首相は「憲法からゆくと明らかに矛盾があるが、常識で考えればこの法の成立が必要なことは明らかだ。」と答えている。 
これは憲法がもはや完全に破綻しており、常識や現実からかけ離れた「空想世界の憲法」であることを、首相自身が認めた答弁である。 
この憲法が存在する一方で,自衛隊が存在し対テロ支援措置法が成立していることは、この国の法体系は完全に崩壊しているということだ。 
一分一秒でも早く憲法が改正されなければ、日本国民に対して国家が「法を守れ」と言う資格は無いことになる。 
現憲法はすなわち日本国民への「無法のススメ」のようなものだ。 

現憲法の前文には「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」とある。 
日本語としても少し変な言い回しだが、何よりも戦勝国の立場で書かれたことが丸出しの文である。 
つまり戦争の惨禍は「政府の行為によって」起こるものと決めつけ、そこには現在の状況の様に「北朝鮮の行為によって」又は「中共の行為によって」再び戦争の惨禍が起こることが全く想定されていない。 
60年近くも時代が移れば日本を取り巻く国際状況も一変するが、この憲法だけは60年前から時が止まったままなのである。 
この憲法を全文読んでみると、外人が書いた文を和訳したせいで珍妙な文法や言い回しが数多くあるが、さらに文法のみならず構成上において、素人目に見ても奇怪至極な矛盾が多数存在している。 
一例をあげると憲法第三章十二条では「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」 
と有り、似たような表現は他箇所にも散見できる。 
この「国民に保障する自由及び権利」は自然権と言い、 
正当防衛権も含めて個人が生存するために必要かつ行使できる権利のことを指している。 
しかし同九条では「国の交戦権はこれを認めない」とも有る。 
この憲法が国民に「保障」する自由と権利、つまり自由に生存し生命と財産を不当に侵されない権利を保持するために、国民は「不断の努力」をしなければならないのだが、もし北朝鮮が日本へ攻撃侵攻し、日本国民が北朝鮮の手で不当に生命と財産と自由を奪われることになっても、それらを守るために不可欠な「交戦」は禁じられているのだ。 
これまで政府は「自衛の交戦は合憲」と解釈改憲で誤魔化してきたが、実際には憲法には単に「認めない」としか記されていない以上、 
この憲法は自衛権さえも否定していると解釈するより他はない。 
すなわち憲法9条は、同12条に照らすと憲法12条違反となる条項なのである。 
憲法の中の条文が別の条文に対して違憲とは、これはもう落語みたいな憲法だ。 
この矛盾する条文を自衛隊ではなく仮に警察に例えれば、 
「警察は犯罪を取り締まり治安維持に不断の努力をしなければならない」と定める一方で、 
「警察の逮捕権はこれを認めない」と定めているようなものである。
 
こんな狂ったデタラメの憲法、 
GHQ民生局のマルクス主義者25名が僅か9日間ででっちあげたシロモノを、 
左翼教祖に迎合した教科書では「悲惨な戦争を二度と繰り返すまい、という国民の願いから生まれました」(帝国書院)とか、「日本が再び侵略戦争をしないようにするために市民たちの手でつくられていたさまざまな憲法改正草案を参考にして」(日本書籍)などと、まったく嘘を記している。これはもはや歪曲といった類ではなく、単なる嘘である。 
強いて言うならば、GHQが唯一参考にしたとされているのは、釈放された共産党員が集って作った「憲法研究会」案だけであり、同案は社会党の平野力三議員が「70%が共産主義的で、30%が社会主義的」と評したようなシロモノである。 
反天皇制革命を呼号する共産主義者の一体どこが単なる「市民」だというのか。 
こんな嘘の教科書を使って共産主義者の教師が「この平和憲法のおかげで戦後民主主義の日本は侵略戦争をしない国になりました」などと全くの嘘を吹き込みつづけ、日本はこんなにも歪んだ妄想平和主義の馬鹿な国になってしまったのだ。
 

憲法制定当時の真相は教科書からは封殺されているが、 
当時の日本政府は松本国務相が「共産主義者の作文」と呼んだこの憲法を何とか少しはましなものにしようと涙ぐましい努力と重ね、日本側からも改正試案を提示している。 
しかしGHQ民政局ケーディス次長はこの日本政府案を一蹴し、 
「GHQ案をそのまま受諾するか否か、48時間以内に返答せよ」と怒号し、天皇がどうなってもよいのかというニュアンスを暗に突きつけて脅かした。 
幣原首相は「煮え湯を飲むような気持ち」と語り、受諾可否を決める閣議において「かような憲法草案を受諾することは極めて重大な責任である。 
おそらく子々孫々に至るまでの責任であろうと思う」
と 
苦渋に満ちた表情で述べ、当時の閣僚そして議員のほぼ全員が屈辱で身を震わせていたのである。 
この受諾状況の一体どこが「国民の願い」だの「市民の手でつくられた」だのといった真っ赤な嘘とつながるのだろうか。 

枢密院議会でこの妄想憲法が承認させられた責任を痛感したる元枢密院議長の清水澄法学博士は、憲法施行の五ヶ月後にこの憲法に対して日本民族の意地をもって抗議するために「我が国の将来を考え憂慮の至りに堪えず、小生微力にしてこれが対策なし、よって自決し幽界より我が国体を護持し今上陛下のご存位を祈念せんと欲す。これ小生の自決する所以なり」との遺書を遺して自決されている。 
この憲法の下で生きることを拒否した老国士の最後の抵抗である。 
しかし我々日本人は、この清水澄博士が生命を捨てて訴えた志を半世紀も忘却してきた。その忘却のツケが現在一気に日本を国家衰退へと推し進めつつあるのだ。 

日本の現憲法は、制定された順番でいえば世界で十五番目に古いものであり、 
しかし十四番目までの国はすべて憲法改正を行っていることから、改正もされていないという意味では世界最古の憲法である。 
世界最古の王朝天皇家は誇ることができるが、世界最古の憲法なんて、現実の世界情勢に対応することを自ら拒否している。「馬鹿の証明書」みたいなものでしかない。 
この常識や現実とかけ離れた「空想世界の憲法」を掲げるような国家基軸を立て直さないかぎり、日本の繁栄はもう訪れないというのが現実なのだ。 
かつて東京弁護士会の菅原裕会長はこの憲法を 
「占領軍が仕掛けた日本崩壊時限爆弾だ」と喝破されたが、冷戦終結後その時限爆弾が作動を始め、今や爆発の瞬間すなわち日本崩壊のときが近づいている。 

「マヤ文明」という言葉をお聞きになったことがあると思うが、 
マヤ滅亡の経緯は日本のこの「護憲」と酷似している。 
かって中米に古代文明の粋を誇ったマヤ王朝は、極めて優れた進歩的な暦(予言的要素を含む一種のカレンダー)をつくったといわれている。 
しかしその暦が重宝されるあまり、マヤ人の思考は柔軟性を失い、ついには暦が全ての判断基準として最優先されるようになった。 
そして16世紀初頭、スペイン軍の侵攻を受けたマヤ王朝はこれを「暦の教える運命」だとして一切抵抗もなく降伏し、その結果マヤ王国は跡形もなくスペイン軍に蹂躙され、かくてその栄華を誇ったマヤ王国は滅亡してマヤ文明が地上に蘇ることは永久になかったのである。 
このマヤの暦を日本の憲法(とりわけ第9条)に置きかえてみれば、日本の辿る未来を想うに慄然とさせられる。 
「護憲」勢力の唱えた『非武装中立論』『白旗赤旗論』、 
ソ連か中共に日本を占領させ共産化させるために 
一切の抵抗をせずに降伏せよと説いた。 
その主張の根拠となったのは憲法第9条だ。つまり暦ならぬ「憲法の教える運命」に従って亡国を受け入れようということだ。
 
その盲目的な狂信性は、福島瑞穂や佐高信という左翼コンビの共著が『神は憲法に宿りたまう』という題であることからも容易に伺い知れよう。 
実は中共の抗日記念館のパネル展示の最後の一枚は日本の憲法九条が提示されている。この憲法は日本の左翼のみならず、日本弱体化を国是とする中共もお気に入りなのだ。 
つまりこの憲法は今や日本を中共の完全な属国へと導くためのみに存在している。 
まさに「憲法護って国滅ぶ」である。 

1995年12月に来日した共和党のニクソン副大統領(当時)は、公式スピーチの中で有名な「ミステイク演説」を行い「アメリカはソ連の意図を見誤り、日本を武装解除させるために1946年に(現憲法制定という)間違いを犯した。 
その後の国際情勢を鑑みて、日本は過ちを正し再軍備によって国際責任を果たしてもらいたい」
と述べている。 
また、アイゼンハワーやレーガンなど他の共和党大統領も例外なく日本の憲法改正を支持しており、ブッシュ政権はこれまでの歴代共和党大統領以上に強く日本の憲法改正を求めている。 
もとより前述の如く共和党はGHQニューディーラーによる憲法第九条制定に反対し続け、ソ連(現在は中共)という共産主義大国に対抗するために「強い日本」との同盟を念願してきたのである。 
次は日本が目を覚ましGHQ体制を脱却してこの「共産主義者の作文」を捨て、国家再生に取り組むべき時なのだ。 
(中略) 
なお、私は現憲法の改正ではなく、占領下で制定された憲法はハーグ条約陸戦法規第43条に明確に違反する産物であることから、「国際法違反の憲法を破棄する」と国会過半数で議決して、まったく新しい憲法を制定するべきであるとも考えている。GHQは意図的に改正が至難となるように定め、さらに改正を問う国民投票を行うための法律自体も存在していないのだから(注:最近できました)、一旦破棄して新しく作り直すのが一番簡単なのだ。加えて最近左翼勢力が「憲法の理念をさらに強める護憲的改憲」などと唱え始めていることから、野党の賛成までも必要とする改正よりは一旦破棄してしまうべきなのである。


現在も日本が手足を縛られているGHQ製の「戦後体制」(憲法など半独立的状況)は、 
世界における「国連体制」と軸を同じくするものであるということだ。 
敗戦日本の台頭を抑止するためのGHQ製「戦後体制」であり、 
同じ大戦の連合国側が集まった戦勝国クラブが「国連体制」である。 
小室直樹博士いわく「(国連は)連合国が第二次大戦の勝利の成果に基づく戦後の状況をできるだけ末永く維持するための執行機関」だということだ。 

日本弱体化を国是とする中共とその手先たる日本左翼勢力は、護憲や反防衛、謝罪外交や自虐史観など日本の「戦後体制」の永続を望んでおり、従って当然「国連体制」を支持して国連中心主義を唱える。 

例えば共産党の春名直章代議士は「21世紀は、国連を中心とした平和のルールが一層力を発揮する世紀となるでありましょう。日本国憲法の平和主義は、この平和のルールの最先端にあるものであります」と衆議院憲法調査会で述べているが、逆の立場から共産主義者も自ら認めるように、憲法と代表とする日本の「戦後体制」は「国連体制」の端っこにぶら下がっているのである。 

従ってブッシュ政権がこの「国連体制」を覆して新秩序を作ろうとすれば、自動的に同軸である日本の「戦後体制」を覆すことにも連結する。 
同じ軸の大きい片方が崩れれば、小さいもう片方も自動的に崩れるのだ。 

現在の世界秩序とは「先の大戦で勝ったか負けたか」だけによって作られた秩序であり、一方ブッシュ共和党政権の描く世界新秩序のビジョンとは「先の大戦の勝ち負けによる秩序では、もう今後の世界は成り立たないからその秩序基準を白紙にし、日米英を中心にアメリカ同盟国を軸にした秩序基準に引き直そう」ということである。 

小泉首相を始め改憲論議が活発になり始め、自衛隊が海外へ派遣されるようになったのは、全てブッシュ政権が世界秩序再編に動き出したその連鎖反応であり、国と国との関係は「ビリヤードの玉」なのだ。 

この世界秩序再編は日本を変革へと揺り動かし、世界新秩序と日本再生は一体にして不可分の関係にある。新しい世界秩序へ向けた再編が進まないかぎり、日本は大きく変われないことを忘れないで頂きたい。 
世界新秩序が日本を変えるのである。 
日本の「戦後体制」すなわちGHQのつくった秩序や価値観を批判してきた日本の愛国者にとっては、この世界新秩序を支持することが思想的一貫性であり、保守のくせに反ブッシュやイラク戦争反対を唱える人々を私が批判するのも、彼らが知ってか知らずか日本再生を阻害しているからに他ならない。 

ともあれ共和党政権が着手した世界秩序再編の変動の中で、日本は自らもまた変わっていく自助努力を怠ってはならず、マルキスト勢力や中共シンパに誤導されて選択を誤れば、日本の未来は現在以上に遥かに悲惨なものになってしまう。 

昭和初期に駐日大使を務めたこともあるフランスの詩人クローデルは、大東亜戦争末期に「日本は高貴だ。地上に決して滅んでほしくない民族をただ一つ挙げるとすれば、それは日本民族だ」と喝破したが、その高貴さとは戦前戦中の日本に存在したものであり、このままこの卑しく歪んだ「戦後体制」を続ければ日本民族は自らの愚で滅んでいく。 

もう一度重ねて繰り返すが、それらの邪悪なる勢力が用いる最大のプロパガンダ兵器が自虐史観である。 
フランスの文豪アンドレマルローは「国が滅びるときは、その国が自国の歴史を否定したときである」と述べた。自虐史観との戦いは今や歴史教育だけの問題ではなく、日本の未来を大きく左右する最大の鍵なのである。 

自虐史観のルーツになっている東京裁判については、マッカーサー自身でさえもその判決審査の際に「私は長い公的生活の中で、この判決を審査するほど不愉快きわまることは、かつてなかった。 
この裁判の持つ人類普遍の基本問題(筆者注…戦争の是非の定義を指すものと思われる)を評価するに必要な卓越した英知を私は持っていない」
と早くも東京裁判を後悔する発言を行っているのだ。 
東京裁判において連合国は「判事の中に一人ぐらいは国際法の専門家がいないとまずい」と考え、インド独立運動に直接関与していなかったパール博士にインド代表判事の白羽の矢を立てた。 
しかしパール博士は国際法学者としての良心から「日本無罪」判決を下し、結果その公正かつ真理に基づく判決は欧米から高く評価されて、パール博士は後に国連の国際司法委員長に選任されている。 

日本の政治家であれば、このパール判決書や「東京裁判却下未提出弁護側資料」を必ず一読した上で政治を為すべきであり、私のような民間人でさえも有するレベルの知識もないままに、自虐史観や妄想平和主義で国政を左右されたのでは、日本は「中共の属国」として没落への道を直進することになる。 

それではこの自虐史観を払拭せしめる日本再生のために、先ず最初に行われるべき第一の通過点は一体何であろうか。 
例えば首相公選制を提唱している識者の方もいる。 
しかし逆に日本においてはそれは絶対に避けるべきである。 
もし公選制になってしまえば、横山ノックのような馬鹿なタレントや田中真紀子のような狂気の反米媚中主義者が首相になる危険性がある。 
それでなくとも自民党や民主党は、タレントだのプロレスラーだのスポーツ選手だのといった政治学や国際関係学を学んだこともない人間を候補に担ぎ出すようなことばかりしているのだ。 
いくらスポーツが上手でも政治とは関係なく、逆に言えばプロ選手やオリンピックに出場するぐらいにスポーツの練習をしていれば、国家戦略だの国際力学だのを学ぶ時間もないであろう。 
自民党が比例候補に担いだ女プロレスラーが「日本を変える。わかりますか」と絶叫していたが、どう変えるのか本人が分かっている様子さえもない。 
この種のポリュリズムは厳として否定されるべき悪習であり、それより何よりも重要なことは、政界のイデオロギー再編である。 
近い将来において政界の大再編は起こるであろうし、また起こらなければ日本はもう終わりである。 

再編の基準は、憲法・安保・外交・教育といった国家観と、その源となる歴史観、この二つが座標軸でなければならない。 
自民党も民主党もこの座標軸で再編されなければならないのだ。 
平成15年10月に発行された民主党マニュフェストの詳細版「民主党政策集・私達のめざす社会」では、中共の反日史観をそのまま受け入れ、共産党系団体がでっちあげた偽装団体の要請を受けて日本の戦争犯罪なるものを追求する「恒久平和調査局」を国会図書館に設置すると主張し、 
さらに「アジア等の女性に対する旧日本軍による慰安婦問題の解決を図るために『戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案』の成立を急ぎます」とも主張している。 
また靖国神社への首相や閣僚の参拝は憲法に違反するとして靖国代替施設(国立追悼施設)の設置を主張し、防衛面では「集団的自衛権を行使しない」、 
政治面では「外国人への地方選挙権付与」、 
あげくには「ジェンダー・フリー社会こそ日本を再創造するカギとなります」とまで主張しているのだ。 
これが民主党の公約である。 
政党はその政策公約によって政治理念を判断されるべきだが、民主党の公約する政策は旧社会党のイデオロギーと寸分変わらないものであり、まさに日本破滅へむけて迷いもなく一直線といったところである。 
民主党には若手や地方議員にはマトモな思想を持つ人物が多数いるものの、彼らがこんな公約をする左翼政党に籍を置き続けることは正常な状態なのだろうか。 

自由党と民主党の合併なんかは、さらに複雑なイデオロギーの捻れを引き起こしただけである。
とうとう小沢一郎氏は自民党憎さのあまりに理念や政策を放棄したのであろうか。 
小沢氏は本心から「自称・従軍慰安婦」に賠償したりジェンダーフリー社会をつくりたいと思っているのか。 
菅直人は「政権を取ったらイラク特措法を廃止して自衛隊のイラク派遣を中止する」と主張していたが、こともあろに小沢氏もそれに同意していた。 
小沢氏は以前より「国連中心の安全保障」を唱えている国連幻想の持ち主でもあることから、政党保守のように見えてもやはり「戦後民主主義」「日教組教育」の中で育った世代であることは否めないのだろうか。 
国連体制を支持するということは、日本の「戦後体制」を支持することと同義なのだ。イデオロギーなき民主党及び自由党の合併は、真の保守支持層を愚弄するものに他ならない。 

一方、安倍晋三氏のモットーは「国家観を共有できる政治家と交流し、たとえ同じ自民党でも国家観が違う者とは疎遠でよい」というもので、実に安倍氏こそ政界のイデオロギー再編のキーマンとなりえる人材である。 
私はこの安倍氏に大いに期待し日本再生の望みを託したいと思う。 
政党がイデオロギーによって成り立っていない現状こそが、保守層が政党に対する支持ではなく政治家個人に対する支持しかできない状況を生み出し、確かな保守的政治信条を持つ有権者ほど無党派にならざるをえない原因となっている。 

政界再編の理想像は、先ず自民党内の中共シンパすなわち旧宮沢派系などの自民党左派、旧社会党系などの民主党左派、親中左派傾向の強い公明党、そして社会党が合体して、謝罪外交一直線の中共属国化を目指す「弱い日本党」をつくるべきである。 
一方、森派などの自民党保守派、旧自由党系や旧民社党系の民主党保守派が合体して、米国の対等なパートナー化を目指す「強い日本党」をつくり、地政学やリアリズム国際政治学のシンクタンクを保持すれば米国共和党のような正しい内外戦略を持つ政党になることであろう。 
もし仮に再編時の議席数によって「強い日本党」が一旦下野することになっても、次の選挙では必ず過半数を制することができる、 
国民はそれほど馬鹿ではないのだ。 
(中略) 
前述のように憲法・安保・外交・教育・その他主要な国家観の相違は、「あの戦争をどう見るか」が全て根底に存在しており、GHQのウォーギルトインフォメーションプログラムに端を発する自虐史観で、この半世紀の間は日本民族は 
一種の集団催眠術にかかってきた
 
しかし元々愚かな民族ではない。 
それは明治維新以後の日本の歩みが証明していよう。 
平成十四年四月の読売新聞のアンケートでは改憲に賛成する国民は57%に達し(反対は29%)、全ての年代で賛成が上回っている。核武装を支持する国民が五割を越えていたアンケート結果もあり、政治家よりも先に国民のほうが「現実」に目覚め始めているのだ。 
そしてこの国民の多くは、政党がその理念と政策に基づいて再編されることを望んでいる。 
国家観の違う人間が選挙のためだけに混在している自民党や民主党の今の状態が異常なのであり、 
米国で共和党と民主党が二大政党たる所以は、この国家観の違いを軸として二分されているからなのである。 
二大政党とは単に大きな政党が二つあるということではないのだ。 
このイデオロギーによる政界の大再編さえ実現できれば、現実派と妄想派の違い、強い日本なのか弱い日本なのか、日米同盟なのか中共の属国なのか、全ての区別は明確となる。 
そして明らかに異なる二つの未来への選択を迫られたとき、日本民族は必ず正しい選択をすると私は信じている。 
真の政治改革とは、企業献金だの秘書供与だのといった矮小な次元のことではなく、政党のイデオロギー再編にこそ存在しているのだ。 

http://www7b.biglobe.ne.jp/~senden97/kokusairengo1.htmlなどからコピペしました